(記事中の)上のメモ帳仕様が、1つのレシピの全内容を簡潔に網羅しています。こちらは「比較的リッチな食パン」の物です。
ベーカーズパーセントとは、粉を100%に見立てて、そこに副材料を付けたしていく表現方法になります。「ベースになる粉を土台にして、それに対して副材料をどのくらいの割合で付け足していくか」という見方になります。ベースになる”マネキン”に服を着せていくような感じになりますので、レシピの生い立ちがわかりやすく、かつ、他のレシピとの比較検討が容易になりますので、レシピ開発には欠かせない手法です。
その名の通り、通常はパンレシピでのみでしか使いませんが、わたしはお菓子類にも応用しています。ベースになる材料を100%にして(ケーキ類では卵がベースになることが多いです。例外もありますが)、そこに砂糖とかの副材料を付けたしていってます。ケーキ類は使用する順番が違ってくることもありますが、とても全体像をイメージしやすくなると思います。
ただ注意点があります。1つは、ベースで100%に見立てているので総量190%とかになったりして、「純粋な100分率ではない」という所です。これは作り手主体のパーセントなので、食べてもらう人に説明する際の数字ではないという所です。仮に総量190%のパンがあったとします。それが小麦粉100%ベースで作っていたとしたら、これを単純にグラムに置き換えますと総量190gの”パン生地”に入っている小麦粉の量は100gで「100÷190=約53%(の小麦粉がパン生地の中に含まれている)」となります。しかもパン生地です。焼きあがったパンとは違います。パンは焼いている途中で水分を飛ばしながら焼きあがっていきます。焼きあがった時点で食パンなら平均-10%、フランスパンのようなハード系直焼きパンで平均-15%の水分が飛んでいます。製法やレシピによっても微差が出ます。これを「焼減率」と言います。総量190%のパン生地が「焼減率10%」の食パンだった場合、これをまた単純にグラムに置き換えますと「190gー19g=171g」で、「190gのパン生地」が「171gの食パン」になったことを示します。190gのパン生地に含まれている小麦粉は100gでした。なので、171gの食パンに100gの小麦粉が含まれていることになります。これは計算すると「100÷171=約0.58」になりまして「この食パンの中には約58%の小麦粉が含まれている」と言えます。食べてもらう人(商売ならお客様)に提示する数値はこちらになります。ここで、このお話はこの辺で終わらしますが、ゆめゆめご理解いただけたらと思います。
さて、本題に戻してまして、この表記の見方を上から順に箇条書きにしていきたいと思います。
①B%=ベーカーズパーセントの意味を表記しています。
②粉類(小麦粉類)を100%に見立てます。時として中種、天然酵母種、老麺(別に作りおいていた生地)等の粉成分を100%の内訳に含む場合があります。これを「内割り」と言います。一方、粉類(小麦粉類)とは別に砂糖のような副材料と同様に、粉類100%とは別に中種、天然酵母種、老麺の総量を付け足す場合は「外割り」と言います。わたしは基本、後者の「外割り」を採用しています。ただし、粉の総量を的確に把握したい場合は「内割り」表記が有効な場合もあります。なので、単純な粉類の総量が100%未満の場合は「内割り」を採用していることがうかがえます。
③同様の性質を持つ材料区分と、個別の材料区分を分けています。この方が全体像を把握しやすいと思うからです。
④合計がトータル%になりまして、単純に粉が100gだった場合はその総量が(上の表だと)193.25gになることを示しています。ちなみにミキサーボールのヘリや、プラスチックのヘラにパン生地カスがくっ付いてしまい、どうしても完全に取り切れない「使用されないパン生地の一部」が発生してしまうので「歩留まり=実際に生地としてとれる量」を約98%にして計算したのが合計の右の部分になります。なので(上の表では)「粉100gで実際に生地がとれる量は190g」という意味を数値は示しています。
⑤ミキシングにつきまして、数字の前のL=Low、M=Middle(業務用ミキサーではよくミドル=中速を使いますが、私は基本ホームベーカリーではLowの低速とHighの高速しか使用しません。その詳細は別記事で)、H=Highと、ミキシングスピードを示しています。そのあとに続く数字がミキシングをする分数になります。「↓」は、油脂類の投入タイミングを示しています。それ以外ではレーズン投入タイミングなどは純粋に(レーズン)等と表記しています。
⑥フロアータイム(一次発酵)~焼成までの表記の仕方。こちらはパンチ(生地のガス抜きのこと。生地の育成促進のために用いられる作業)をⓅ。1分を1”。1時間を1’。温度はそのまま~℃。と表記しています。業務用の高性能な一次発酵機、二次発酵機がある場合は湿度も表記しますが、家庭用器具では完全な湿度管理ができないのでここでは表記いたしません。
⑦右側には作成に関わる累計時間を示しています。パンは基本的に時間がかかるものですが、作業時間と空き時間が交互に存在します。休日に遊びながら合間に作業をして、パンを作っていくのが家庭用のスタイルだと思います。そのためのスケージュールの目安になると思います。パンを売って商売をする人はこのスケジュール表を基にして、列車のダイヤのようにつつがなく作業をこなしていきます。で、オープン時や、お昼時に焼き立てパンがドンドン出てくる仕組みをつくる。と、いうことをしています。
いかがでしたでしょうか?「何言ってるか良くわからない」という方は、とりあえず、「普通のレシピ」で問題ないと思います。ただ、作っていくうえで「なんで、この材料をこの分量つかうの?」と考え出したときにすべての答えがこの「業務用レシピ」に含まれています。他、補足事項や、アドバイスなどがありましたら、コメント頂けたら幸いでございます。
では、また。
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