米粉のシフォンケーキ(クリスマスケーキにむけたスポンジ系生地)

お菓子と他のレシピ

上が実際の写真。高さが9㎝以上あるのでデコレーションの土台にも使えます。

ケーキのスポンジといえば、「ジェノワーズ(砂糖、卵、小麦粉)」ですが、シフォンケーキの生地も同じように扱えます。丸いジェノワーズ型で焼くこともできます。天板で板状に焼いて、ロールケーキの土台にすることもできます。今回は生地だけでも美味しい「シフォンケーキ」を紹介します。今回は「米粉のシフォンケーキ」です。

ケーキは泡立てた甘い卵料理に小麦粉で石膏のように固めた調理物だと考えています。米粉はしっとりとした食感がくちどけが特徴で、グルテンを含まないので「サックリ混ぜてグルテンを出さないようにする=生地に弾力が出て膨らまなくなる」という心配がないため、結果生地が粘るようなことはありません。しかし弊害もあって、焼きすぎるとカリカリゴワゴワして、挙句カチカチに硬くなってしまう特性があります。しかしスポンジケーキは卵を焦がさないように焼く調理物なので、その弊害は関係ありません。つまり、スポンジに米粉はとても相性が良いのです。しかも、最近話題の「グルテンフリー」にもなります。今回は牛乳の代わりに豆乳を使用したので「ミルクフリー」にもなります。勿論、「低糖質」仕様。米油で「良質油脂使用」です。ここまで書くと、「ヘルシー重視で味はそれなりなんではないか?」と訝しがられるかもしれません。しかし、心配ご無用。パン専攻のわたくしめが敢えてクリスマス用スポンジ生地を紹介するのには理由があります。旨いんです。しかも、普通の小麦粉のやつより。パン屋はベーカリーの名の通り「焼き屋」なんで、生菓子は苦手ですが、焼き菓子はケーキ屋に劣らぬ得意分野ではございます。天板で焼いて生クリームを敷いて、巻けば「米粉のロールケーキ」になります。有名店がいくつかありますよね。それだけ、生地だけで充分美味しいという、証拠でもあります。また、シフォン型で焼くなら、絶対に鉄・アルミの型派です。水分が多いのがシフォンの特徴なのに、紙の型だとせっかくの水分が逃げてしまうんですよね。せっかくのシフォン生地の水分が抜けてしまうと、「味の薄いマフィン」みたいに寂しく感じてしまうのはわたくしだけでしょうか。

ハンドミキサーを使いましょう。シフォンケーキのコツは全般、「これでもか!」ってほど、ホイップすることが重要になります。

レシピ:シフォン型17~20㎝径のもの、一個分

卵黄 6個分

きび糖 40g

こめ油 65g

豆乳 100g

バニラオイル 5滴

米粉 150g

卵白 6個分

塩 1g

カラントシュガー 20g

トレハロース 10g

はちみつ 10g

オリゴ糖 20g

1、コア(=芯になる生地)作り

最初に卵黄ときび糖をしっかり擦り混ぜていきます。湯煎にかけて40℃をこえない範囲で温めつつ、ハンドミキサーでしっかり擦り混ぜ、+ホイップします。生地が白っぽくなり、ホイッパーの筋の跡が残るくらいまで、ホイップします。次にこめ油を投入します。これも、しっかりとホイッパーで混ぜていきます。「マヨネーズができるんじゃないか?」ってくらい、しっかり混ぜます。次に豆乳を投入します。コアがかなり「シャバシャバ」になるのですぐ混ざった感じに見えますが、油と水はそう簡単には混じりません。表面に細かい泡がいっぱいになるまで「これでもか」ってくらい、ハンドミキサーで十二分にかき混ぜます。最後に米粉を投入します。ハンドミキサーからステンホイッパーに切り替えて混ぜます。米粉は小麦粉のようにグルテンがないので、粉気がなくなって硬さが出るまで、しっかり混ぜてOKです。

2、メレンゲを作る

卵白に塩1gをいれて、ハンドミキサーで泡立てていきます。6分立てになったら、カラントシュガー20gを投入。そのままハンドミキサーで擦り混ぜ+ホイップ続行。8分立てになったら、トレハロース、はちみつを投入。また続行。10分立てになったらオリゴ糖投入。しっかり筋目がのこり、ホイッパーをあげたときの「角」がピンと立つくらいまでマックスにホイップします(=立てすぎてオーバーホイップになると、今度は分離して粒粒状のものができ始めます。これはNG。分離しない寸前の「メレンゲ、カッチンカッチンだぜ!」を目指します。)。

3、コアにメレンゲを合わせて、シフォン型に投入。>焼く

オーブンレンジはオーブン皿を入れた状態で200℃に予熱を入れておきます。コアにメレンゲを1/3づつ、3回に分けてサックリ混ぜていきます。1~2回目の投入はメレンゲの白い筋が残るくらいで次の投入を始めても良いですが、最後の投入後はメレンゲの筋目や、ダマがしっかりなくなるのを確認できるまで、さっくりと混ぜていきます(筋目、ダマがないことを確認出来たら、それ以上ヘラで混ぜる過ぎると今度は気泡が抜けていってしまうので、そこは注意です)。速やかに型に生地を流し込みます。静かにとめどなく、一度に生地を流し込むことで大きな気泡が入り込まないようにします。念のため、生地を流し終わったら、生地の入った型を軽く一度卓上でたたいて、不必要な空気を抜きます。準備が整ったら、オーブンレンジに投入。「180℃の33分」で焼きます。焼き終わったら速やかに、静かにオーブンから取り出し、逆さまにして常温でしっかり冷まします。

4、型から生地を切り抜く

最低4時間は冷ましに必要かと思います。十分な時間で見たら8時間逆さまにしておいた方がいいと思います。翌日に切り抜き作業をしてもいいと思います。いずれにせよ、十分に生地を固まらせます。細いパレットナイフか、竹串で型の壁面を小刻みにジグザグと上下させて、型から生地を丁寧に剥離させていきます。同じところを重複してなぞると生地が損傷するときがあるので、丁寧に一回のトレースで剥がします。サイドがおわったら、分離式のシフォン型なら、側面の型が外れます。その後、中心軸と底面を同じ要領で剥がしていきます。最後の型を外して、逆さに置いて、出来上がり。ホールケーキの土台として使うなら、一回冷凍をかけて生地を固めて、ブレッドナイフで底面、上部を裁断、必要ならスライスをして、「土台の型どり」をするといいと思います。

上の写真。型に対して少し生地量が少なかったのかも。でも高さも十分にあるので大丈夫!

カットの断面。普通のケーキは混ぜすぎると、膨らまなかったり、生地が硬くなってしまったりします。でも、シフォンは逆さまにしないとダウンしてしまうくらい柔らかい生地。混ぜすぎて食感が悪くなることはありません。むしろ、液状に近い生地が加熱によって「油性成分、水性成分が分離してしまう」ことのほうが遥かに弊害になりえます。なんで、しっかり乳化させ、生地を硬化させること(=しっかり混ぜること)が重要です(もちろんメレンゲと合わせるときもしっかり混ぜる前提ですが、この時だけは気泡が抜ける可能性があるので、混ぜすぎ注意。でも、メレンゲのダマとかあれば、少しくらいはヘラで押し付けても大丈夫です。

※業務用レシピ

こうやって業務用レシピで見るとケーキ類も面白いかと思います。パウンドケーキは「卵:糖質:油脂:粉=1:1:1:1」です。米粉の「41%」の使用は小麦粉なら「約50%」の使用に相当します。同じ目線でこちらのレシピを見ると、おおよそ「卵:糖質:油脂:粉=1:0.25:0.2:0.5」となります。ただ、水分に相当する「牛乳」が含まれていませんので、これを油脂と同じ分野に含めますと「卵:糖質:(油脂+水分):粉=1:0.25:(0.2+0.25)=0.45:0.5」になります。シフォンケーキが如何に卵の成分が多くて、糖質と粉が限界まで抑えられていることがわかります。と、同時に油脂と水分が限界まで配合されていることがわかります。こうやって各原材料を比較すると「自分の求めるオリジナルのスポンジ」を作る際にとても参考になると思います。

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